東芝メディカルシステムズの売却

昔大病を患ってから、医療について一般の方よりはるかに詳しくなりました。
任天堂の前社長である故岩田氏にも似たようなエピソードがあるようです。
専門でない他の分野についても、何かのきっかけで深入りしていく
タイプの人間というのは少なからずいるようです。

さて、画像診断についても詳しくなり、またよく利用するのですが、
それら機器を製造する東芝メディカルシステムズには注目してきました。
決算公告を見ると、利益率は悪くないですし、
利益剰余金もしっかり積んでます。
何より事業内容は今後が期待できそうなので、
上場したあかつきには長期投資を前提として
ぜひ株主になりたいなとか思っていたのですが…
親会社である東芝のおかげで面倒な状況に置かれています。

昨年明かになった東芝の不適切会計。
それが粉飾決算かどうかはともかく、この騒動に端を発し、
財務状況がひどいことになっているようです。
通常なら安定経営の東芝メディカルシステムズには
引き続きコツコツ稼いでもうらうのがいいのでしょうが、背に腹は代えられない。
東芝は当座の資金ほしさにメディカルシステムズを売却という暴挙に出ました。
最初にこのニュースを聞いたときには耳を疑ったのですが、
入札の結果驚きの価格が付いたようで、
東芝にとっては結果オーライというところでしょうか。
もちろん真の結果はこれからだいぶ経って分かることになるでしょうが。

ところで東芝メディカルシステムズを購入したのはキャノンです。
キャノンも医療機器事業を行っており、
ポートフェリオにCTやMRIが加わることになるので、
シナジー効果は十分にあるでしょう。
しかし報道されている金額が正しいのなら、
いくらなんでも高値掴みの気がしてなりません。
東芝メディカルシステムズの純資産からすれば
キャノンには巨額ののれん代が計上されることになります。
欧米の会計基準ではのれんは償却してはいけないらしいのですが、
日本だと20年以内に償却することになり、その年間の償却額は
東芝メディカルシステムズの利益を軽く越えそうです。
キャノンはずいぶんと思い切ったものです。どうしても欲しかったんでしょうね。
この手の事業が売りに出されることなど今後はないでしょうし。

それに引き換え東芝の白物家電(ライフスタイル部門)は、
東芝のセグメント情報を見ると
ヘルスケア部門(東芝メディカルシステムズ含む)より
売上も従業員数も2倍以上のボリュームがありますが、
買収金額は一桁低いみたいです。
まあライフスタイルの営業損益はひどい状況なので当然ではありますが。

東芝としては負の部分を切り離し、正の部分をお金に換え、
体裁は整えたのでしょうが、
本社存続こそ最優先というような行動には、
一労働者としてちょっと引っかかりはします。
これはシャープも同様なんですけどね。